「persimmon」とは柿のこと。ゴルフをされている方にはウッドのヘッドに使われているので馴染みの名前ですね。その柿の中で、稀に黒い色合いを内包するものがあります。一説では2万本に1本だとか千本に1本だとか言われていますが、どちらにしても貴重な木で、昔から茶器などで珍重されています。
黒柿の扱いは凄く難しく、柿渋をしっかり抜くのに水にじっくりつけた後乾燥させます。そのため、乾燥時に割れが起こりやすく、殆どの材は四方に割れがおきたりシミが伴い、故に無傷に近いものは恐ろしく高い値段になってしまうのです。
黒い色合いの出方は、木の面取りでも違いますが、のっぺりと黒色が拡がったものより、くっきりと縞模様が出ているほうが人気があり、当然市場価格も全然違います。縞模様をよく見ると、中心の黒線からにじむように墨色にぼけて拡がる様は、和紙の上にたっぷりと墨を含ませた筆で流麗に書き上げた一服の墨絵のように美しいのです。その縞模様が複雑に絡み合ったものを孔雀杢と呼び希少価値度がより一層上ります。
この黒縞が綺麗に出た部分をグリップに使って「岩魚」をオマージュしたランディングネットを作ってみました。黒柿の持つ侘びサビの世界と深山幽谷に棲む岩魚。とても合うと思うんですよ。
※ 写真:塗装途中なので表面が少し粗いので見えにくいですが、黒柿に少し孔雀杢が出ています。フレームにはシャム柿と黒檀と野趣あふれるタモを使い、ヤマメより野生味が強い岩魚のイメージにあわせました。写真のものはオーダーを受けて作っているものですが、自分用にも1本作りたいよ〜
(クゥ〜、渋い)。
※ 孔雀杢は材木屋さんにより、黒縞の表面にピーコックグリーンが出たものをさす場合もあります。