1970年代にフライを始めた人は「Orvis」の文字に弱いんです。今よりずっと情報も少なくて、日本に入ってくるものも少ない中、お店の一番良い場所に陳列されていたのはOrvisのバンブーロッド。その頃、フライマンの定番ロッドはガルシアやフェンウィックのグラスロッドでした(大体、8'00"の#6を使ってましたね。一般渓流で使うのに今では考えられない番手です)。
何処か野暮ったい感じのハーディ社バンブーロッドと比べると、ロケットテーパーに仕上げられたグリップにCFOリールの組み合わせはとてもかっこ良く見えました。当時の為替レートでは一般人には手が届く価格ではなく、ガラスのショーケース越しに眺めては溜め息をついていました。そのOrvisの中でもひときわ目を引くのがブランク面に「Yamame」と書かれた竿。日本のためにOrvisが作った「Yamame Special」です。
六角形のキャップを持つアルミロッドケースにグリーンラベル。タン色のクロスバッグから少し濃い色合いのロッドを取り出すとバットプレートに「YAMAME」の刻印。ブルーイングされたフェルールを継いで軽く振ってやれば、グリップの中まで曲がるOrvis特有のフルフレックスアクション。
今回レストアーの依頼はなんと「Yamame Special」。六角形のキャップを開けて竿を取り出したら、あの頃のワクワク感が甦ってきました。いや〜、やっぱ良いなぁ。この竿に能書きは無用なり。
ベークライト樹脂含浸され、少し濃い色合いになったブランクにYamameのネーム。
グリップとリールシートはオリジナル形状にそって完璧に再現できました。勿論、特徴あるスレッド巻上げも。これ、普通にやると、こうならないんです。
もし私に金銭的余裕があるなら、オービスのヤマメスペシャルとセブン・フォアを、それとぺゾンのブレトンビリエールとスーパーマーベル、そしてペインの98を絶対買います(絶対に無理)。