今から30年ちょい前、1970年代後半。当時殆どのフライマンはグラスロッドとフルーガーやシェークスピアのリールを使い、ガラスのショーケースに飾られているフェンウィック、オービスのとても高価な最新のグラファイトロッドやオービスのバンブー、CFOリール、ハーディの名だたるリールを眺めて溜め息をついていました。
そんなノスタルジ〜に浸るわけではなく、前々から籐巻きを施したグラスロッドを考えていました。バンブーロッドに籐巻きグリップは本当に綺麗な組み合わせですが、グラスロッドの質感にも籐巻きが合うと思っていたのです。けれど、なかなか着手できず今年になりようやくブランクを入手。籐巻きグリップを施したモデルとして工房のラインナップに加えます。
とりあえず、試投できるようにグリップの下地を作り、ガイドを仮止めして振ってみました。軽く振るとグラス特有のトルクのあるループがポ〜ンと前方に飛び、軽量ガイドのお陰でトップの食い込みも軽減され、殆どグラファイトロッドと同じ感覚で振れます。
何より楽しいのはロッドがグンと曲がりラインが竿に乗る感触がダイレクトに伝わる事。この感触がグラスロッドの真骨頂です。ラインの乗りと竿の曲がり、そして竿が復元する間合いがほんの少しあるから、それを楽しむ事が出来るのです。「あ〜っ、この感触ですよ〜、やっぱ良いわ」。
グラスだから近距離をメインと考えがちですが、20ヤードくらいならラインを楽に運んでくれ、上級キャスターならフルラインも可能なポテンシャルを持っています。魚がかかったとき、これははっきり言って「超楽しい〜」の一言(グラスロッド世代ならこれ判ります)。夏の岩魚釣りや里川のヤマメ釣り、そしてマル秘の隠し谷、フィールドで使った時のイメージが頭の中でグングン膨らんでいきます。
ハニーカラーのラミグラス。籐巻きグリップが合います。ちなみに、リールシート、ワインディングチェックはニッケルシルバー製。ラインナップは、type M が 6'6"・#3・3pc、7'00"・#3・3pc。type S が 6'09" #3 3pc、7'02" #3 3pc です。詳細は
アトリエの「Tou Maki」をご覧下さい。
グリップの下地を作ってガイドを仮止め状態です。グリップは籐巻き(焼き目)。グリップの仕上げはここからが長いんです。ちなみにグリップが仕上がると
こんな感じになります。
籐巻きグリップをお持ちの方は完成状態でしか見られませんが、実はリールシートやチェックで隠れる所にも籐巻きを施してあります。