ブランクの再塗装が乾いたら(しっかり乾燥させないとコルクを差し込んだ際、傷が付く可能性があるので要注意)、グリップ用のコルクリングを接着した後、整形に移る。初期ORVISのロケットテーパーはグリップセンターよりほんの少し前の部分にテーパーのピークを持ってきている(一番太い径)。
ただし、これはブランク径により変えないといけない。ORVISのブランクは総じて細身で、少し太い径のブランクのグリップを同じように整形すると全体的なシャープさに欠け、もっさい雰囲気になってしまう。気に入ったグリップデザインがあり、それを他の竿で作ろうとしたとき、何か違うイメージに仕上がってしまうのはブランク径に対してグリップ全長とグリップの太さなどを変えないといけないのに、元のグリップのまま仕上げると頭の中のイメージとかけ離れたものになる。絶妙のバランスはブランク径により違ってくるので、その辺りの塩梅がビルダーのセンスの見せ所。
◆ロケットテーパーに仕上げたグリップ。この後、ガイドを仮止めしてガイド位置を決めるため、8割方の仕上がりにして、試し振りでガイド位置が決まったら最後の仕上げを行なう。少し硬めにしたかったので、ガイドはスパインに乗せてある。
ORVISのような先端をスレッドで巻き上げにした繊細なグリップはそれが顕著に現れる。ブランク径が太い場合は、テーパーのピークをグリップ前部の三分の一の辺りを目安に整形すると太いブランクからグリップのフロントテーパーへの移行がきつくなるので、シャープさが出てくれる。そこから、少しずつフロントテーパーを後ろに削っていき、そのブランク径に対して最良の位置を出せばよい。今回のブランクもORVISのものより太い径なので、上記の方法で削ってある。グリップ全長もORVISより5mmほど長めにしたため、テーパーのピークはグリップの三分の一よりほんの少し後ろに持っていった。
グリップの整形が終わると次にガイド位置を決める。ガイドを仮止めし、試し振りをしながら、位置の最終調整を行う。思ったとおりこのブランクはとても素直で、いわゆるモデレートアクション。可も無く不可も無いが使い勝手の良い竿だ。近距離から中距離に向いている。個人的にもう少しバットにパワーが欲しいので、バットの補強をしてやりたいところだが、これをやるとかなり手間がかかるため、今回はやめてシーズンオフにでもバット補強を行い、リビルドすることにする。
◆スレッドワークとコーティングが終わり完成〜。グリップ廻りもほぼイメージ通り。グリップのコルクは4Aを、スペーサーは勿体無いので3Aを使用。
◆グリップエンドに「YAMAME」ここだけ見ると本物っぽく見えるが、なんちゃってYAMAME SPECIALですよ〜。
グリップを完成させ、ついでにリールシートのスペーサーをコルクで整形。スペーサーの後ろのデザインがうろ覚えだったので、手もとにある資料でORVISの竿を探すと小さい写真だがあった。それを見ながら完成させる。後はスレッドワークとコーティングのみ。ORVISはグデブロッドのナイロンスレッドを使っているが、振ったときの抜けを良くしたいので、シルクを使いガイドも軽量のCRNを使う。色はゴッサマーのクラシックチェスナットがほぼ同じ色合いになってくれる。
ORVISらしさを出すなら、コーティングは少しイビツにしたほうがバタ臭さが出て良いけど、そこはやはりビルダーとしてそれなりに綺麗に仕上げてしまった。自分用のだから、そんなに真剣に作らなかったが最終的な仕上がりを見ると、まぁ、満足。なんちゃってYAMAME SPECIALが出来上がり。これで、今シーズンに間に合いました〜。